いまの、この世界が消え去ってしまっても -第2話-

まさか、この歳(じいちゃん)になって、
朝から怒られながら、学校に行く準備をする羽目になるとは、
思いもよらなかった。
あわてて連絡帳を探す
「あった!」しかし字が汚すぎて解読不能状態
仕方なくランドセルに適当に詰め込む、どおりで忘れ物が多かったわけだ。

視線を感じて振り向くと母親が鬼の形相でにらんでいた。
「もう、くじけそうだよ ばあちゃん・・・」
「誰が、ばあちゃんだって?」母親の殺気が増す
「私の奥さんのこと・・・」ハッ、と気づいて言うのをやめる

母親は、たまに頭がおかしいんじゃないかと思うくらい機嫌が悪いことがあった。
私の奥さんもそうだったことを思い出す。
きっとアレだ、そうアレだ。
子どもの頃は分からなかったが2、3日は息をひそめて暮らすほかはない・・・

ボクは小学六年生 -初登校-

西暦1983年[昭和58年]11月26日(土)

集団登校の集合場所は家の近所だったので、流石に覚えていた。
六年生は黄色い旗を持って先頭で引率をする

「昨日、ジャンプ読んだ?」
同じ学年の てっちゃん が話しかけてきた
「昨日休んだから、買ってない」

週刊少年ジャンプの発売日が金曜日?ここは田舎だから発売日が遅い・・
ちがう、その逆で当時ジャンプは金曜日には、お店に卸されていたのだ
駄菓子屋のおばちゃんは、それを堂々とお店に並べていたのを当時の私は知る由もなかった

学校に着くまでの間、てっちゃんから「キン肉マン」の
今週のストーリーをコトこまかく解説された、ネタバレもいいところだ
まあ、知ってるんだけどね・・
危うくその先の展開を話しそうになり
「・・ってなるんじゃないかな」で誤魔化したが、
きっと後で驚くだろうな。

小学校に到着すると
「うっわー!なつかしい」と思わず叫んでしまった。
「何言っとるんや、一日休んだだけやろ!」
”おもしろいことを言ってやったぜ風”の顔をよそおい
思ったことが全部口に出てしまうのを、
何とかしなければならないと
この歳になってから気づかされてしまった。

校舎に入るのに第一関門が訪れる
上履きに履き替えなければならない、とりあえず
てっちゃんについて行こう
「3組の下駄箱げたばこ、あっちやろ!」
(あっちって、どっちだよ!)右往左往して完全に挙動不審である。
下駄箱の上にクラス表示があるのを見つけて、
何とかたどり着く

「いーこと思いついた」
ここで待っていれば、3組の奴が来るじゃないか

なかなか来ない・・・
ここで突っ立っていては怪しすぎる
とりあえず、何度も靴を履き替えてみる

やってみて気付いたが、余計に怪しい

「あっ、将軍、うんちゃ」
ふりかえると、昨日クラス写真で見たヤツが
そこに立っていた
「うっ、うんちゃ」
(六年生で”うんちゃ”はないだろ)
まあいい、こいつに教室まで案内させよう
”名前が全く思い出せない”こいつの、真横ではなく
微妙に斜め後ろに位置付ける

校舎の階段を上りながら
「将軍さー、ジャンプ読んだ?」
この時代の小学生男子の頭の中には”ジャンプ”しかなかった

階段を上って教室のある3階までたどり着く、久しぶりに階段を上った
「はー、しんど・・・・くない」
素晴らしいぞ! 小学生の体

”名前が全く思い出せない”こいつの後に続いて教室に入る
「将軍様、おはよーございます」
「将軍、おはよー」
「将軍さま、へ、へー」わざとらしく頭を下げる
うぜ~、この上なくうぜ~、これ毎日やるのか?

思い出した!
産休に入った担任の先生に替わって来た”じじいの先公”が
「宗義(むねよし)か、なんか将軍様みてーな名前だな~(笑)」
一同「wwwwwwwwwwww」
ここから、将軍様ブームの到来である

「キーンコーンカーンコーン」
”ウェストミンスターの鐘” の音が響き渡り
みんなが一斉に自分の席に向かいだす
だがここで慌てる必要はない、
空いている席に座るだけだ。

今日、男子の欠席者がいなければだが、
席順が男女ペアになっているからだ・・・

インフルエンザの流行前でよかった、空席はひとつ
私は悠々と席に向かう、席に着く前にチラリと隣の女子の顔を確認する
(あっ、この子のこと好きだったなぁ)
しかし、相手は小学生だし動揺することもない

右手で椅子をひきながら
「失礼しまーす」
(なんだそりゃ~!! めちゃんこ動揺しとるやんけ!)
彼女は、少しキョトンとした顔をしたが、特に気にする様子もなかった。

私が、名前の頭に「み」がつく女性が気になるのは
きっと、この子の名前が「瑞穂(みずほ)」だったからだろう
そして、タヌキ顔派ではなく、キツネ顔派なのは
まあ、そういうことだ。

「朝の会」が終わって、1時間目は「道徳!」

忘れ物をしないように、「国語算数理科社会」
何なら体操着まで持ってきたのに
「道徳ってなんやねん!」
クラス中の視線が一点に集中する、もちろん私に
「将軍、どうした?」
先生に聞かれて思わず立ち上がる
「教科書を忘れまし・・・・」
意識が遠のきそうになるが、ギリギリで踏ん張った
意識の奥から、何かが聞こえたような気がする「・・・して」

私は、保険係に付き添われて保健室にたどり着いた。

保健室の先生にうながされて、ベッドの上で横になる
(この先生の顔、見たことあるような気がする)
私は1度目の人生で、よほど保健室に入り浸っていたのだろう。

次回に続く

おまけ

このおまけでは、昭和の説明不足を補います

当時の私は知る由もなかった

当時の私は知る由もなかったのだが、
ある時を境に、突然ジャンプが駄菓子屋に並ぶのが
「土曜日」になった
疑問に思い、おばちゃんに尋ねてみると
「何か、おこられてね」土曜日でも十分アウトである。

うんちゃ

うんちゃ」は当時、テレビアニメで放送されていた
Dr.スランプ アラレちゃん」原作は「Dr.スランプ」鳥山明先生ですよ
アラレちゃんのあいさつ、正式には「んちゃ
ちなみに「めちゃんこ」という言葉もアラレちゃん用語です。

将軍

当時、「暴れん坊将軍」が絶賛放送中であった
「暴れん坊将軍」は吉宗よしむねだが、
あだ名には
”こまけーことは気にすんな理論”がはたらくらしい
しかるに、「吉宗」が「宗義むねよし」でも問題ない

昭和のじじいの「先公せんこう(先生の不良風の呼び方)」は
要注意だ、生徒を平気であだ名で呼びやがる

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