いまの、この世界が消え去ってしまっても -最終話-

人というのは、自分では気付かないモノなのだが、
接している相手や場所によって自分のやくを使い分けている。
ボクは今、高波瑞穂たかなみみずほの部屋に居る。ボクにとっては家の外にいる訳なので、多分だけど学校にいる時のボクと、この部屋に居るボクはあまり変わらない筈だ。

ボクにとっての高波瑞穂のイメージは、『ほがらかで誰にでも優しくて責任感が強く、たまにちょっと抜けている』というところだ。

でも、目の前にいる彼女は、いつもの無邪気さがない。かっちゃんの通夜であった時の、今にも壊れてしまいそうなはかなさが感じられない。
昨日のことがショックで、逆にどうでもよくなってしまったのだろうか?

目次

ボクは小学6年生 -ボクとミズホと-

「ムネヨシ、プリント持ってきてくれたんだよね。見せて」
エッ? 何で名前で呼んでんの、しかも呼び捨てで。親にも呼ばれたことないのに!
ボクのことを名前で呼んでくれるのは、死んだ ばあちゃんか、親戚の人くらいだ。

何せ、『宗義むねよし』は呼びにくい、普通四文字の名前だと前の二文字で呼びたくなるものなのだが、ボクの場合だと『ムネ君』にしても『ムネちゃん』にしても、どうにもシックリこない。

だから友達にも苗字の『菊ちゃん』で呼ばれる。親からも妹がいるせいで『お兄ちゃん』と呼ばれる。
これは、長男の運命さだめだディステニィだ、いやフェイトだ。
ただでさえ、女子の部屋で緊張しているのに、頭が混乱してきた。

「っかしいなぁ、桐嶋克己きりしまかつみ君の命日の次の日だよね。アタシ絶対に忘れない!」

『命日』って、まあ確かにそうなんだけど、彼女にせっつかれて、慌ててランドセルからプリントを出した。
プリントを受け取った彼女は、少しだけ安堵の表情を浮かべて、昨日の切ない表情になりかけたのだが、今度は悪戯っぽい笑顔でボクの顔をまじまじと見ている。表情が猫の目のようにくるくる変わって、どうにも感情がつかめない。

やっぱり、昨日の出来事は彼女の心を壊してしまったのかもしれない。

「あのさ、班長・・・」

「その班長っていう呼び方、ちょっと嫌だったんだよね。役職で呼ばれると、何だか私自身じゃなくて、誰でもいいような感じがするから」
なっ何だってぇ~、いつもニコニコ返事してたじゃないか、そんな素振りすら見せてなかったのに、いきなりこんなハッキリ言われるなんて、だってちょっと、他のみんなと違う呼び方で呼びたくて、だけど下の名前で呼ぶ勇気なんか無かったから。

「じゃあ、高波・・」

「う~ん、それも今さら慣れないなぁ・・ミズホでお願いします」
瑞穂は椅子から立ち上がると、ベッドに座っているボクのすぐ隣に来た。
ボクのパーソナルエリアは広い、流石に座っている位置をずらしはしないが、上半身が若干だが彼女と反対側に傾く、これは嫌とかそういうのではなくて、条件反射みたいなものだ。

「いい歳して、何を緊張してるのさ、元彼女もとかのでしょうに・・・・あっ、まだか」
いやいやいやいや、彼女って何? しかも元って付き合ってさえいないのに、頭の中が大混乱だよ!

瑞穂は何かを悟ったような顔をして、ボクの背後に移動すると、いきなりボクの首を抱きしめた。
気持ちがいい・・意識が遠のく


「ひどいな、何をするんだよ」
人は首を絞められると苦しいが、気管ではなく頸動脈を絞められると気持ちが良くなって意識を失う。

瑞穂は私の耳元でささやいた
「君は何回目のムネヨシ君?」

「15,532回目だよ、あんたは誰なんだ?」

「アタシは、15,533回目のミズホだよ。つまり君は失敗したってこと」
ショックだ。これから何十年もかけて地球の生命を守ろうと思っていたのに、そのためにカワイイ孫とも別れて来たのに
4日目にして結果が分かってしまった。

「15,532回目の君はアタシと付き合うの、初めてのデートで見た映画は『風の谷のナウシカ』
そして、中2の夏休み前に別れた」
私は『風の谷のナウシカ』を映画館で見ていないのが心残りだった。
そうか、見たのか。んっ、まだ見てないぞ。

「あのっ、高波・・・」
「ミズホよ、ミ・ズ・ホ。高波なんて何十年も呼ばれてないわ。
自己紹介してなかったわね、村井瑞穂です」

「村井って、あのムライ・・・
じゃあ、ミズホが『いざなみ』さんの母親なのか」

「アタシの娘は『みなよ』多分その人は15,531回目のムライの娘ね」
村井博士は、子供の名前に16進数を使うのをやめたのかと思ったが『1374いみなし』に瑞穂が猛烈に反対して『374みなよ』で折り合いをつけたらしい。

「だが待てよ、15,532回目の私の時間がまだ過ぎていないのに、何故 なぜ15,533回目のミズホが現れるんだ。
時間は不可逆じゃないのか?」

「それでは、今のアナタ自身を否定している事になるわね。
アナタは自分が時間を戻ったと感じているのかもしれないけれど、観測者(ムライ)から見たら時間は進んでいるの。
地球上で時間の流れを把握している唯一ゆいいつの人物は、1回目のトリップをしたムライだけ。」

確かにミズホだけではなく、私自身も不可逆なのだな
「じゃあ、村井博士だけが、この全宇宙の時間を把握しているという事になるのか」

「それは言い過ぎね。あくまでも地球上での話よ。絶対値ではないわ
そもそも、時間に絶対値なんてあるのかしら、時間の流れは物質の移動速度が光に近付くと遅くなっていく
実際にGPSから送られてくる時間は人工衛星が地球の周りを早く回っているために、遅く補正されているのよ。

おかしいと思わない?
約138億年前にビッグバンによって宇宙が誕生した。
物質は、絶対に光の速度(秒速30万km)を越えられない筈なのに、
今の宇宙の広さは276億光年(138億光年×2)よりも広いのよ
これは、時間が普遍的ではなく主観によって変化しているという事になるわよね」

ちょっと、よく分からないけど。
私は時間をさかのぼった訳では無く、事象を繰り返しながらも時間は進んでいるらしい。

「そして、私は人類の未来を変えるコトが出来なかったんだな」


「いいえ、変えたわよ・・・悪い方に」

「エッ( ̄▽ ̄;)、あっ、じゃあ、ミズホは私と一緒に未来を変えるタメに・・・」




「そうね、もしくはアナタを・・・」
もう一度、瑞穂の腕が私の首に絡みつく

あとがき

ここまで読んで下さった皆さま

まさ

本当にありがとうございました

アシ美

皆さまってほど
読んでないでしょう

まさ

二人から皆さまです

これが、小説と呼べるものなのかは分かりませんが、これが私の限界です
自分で思い描いた物語を表現してみようとしましたが、なかなか難しいですね

楽しんで書くことができたので
また、機会があったら書いてみようと思います

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